
【報告】上勝町でTOUCA合宿を実施しました!
こんにちは!TOUCA事務局の赤松です。先日、TOUCAコミュニティパートナーが集まり、共に学び、旅をする“TOUCA合宿” を実施しました。本記事では、合宿の内容や様子を一部お届けしたいと思います。
TOUCAでは、旅先の地域での学ぶこととTOUCAコミュニティパートナー同士のつながりを深めることを目的に、年に2回、合宿を開催しています。地域で活動している経営者の方々が、 “旅”という形で、肩書関係なしに旅の仲間である1人の人として、同じ風景を見て、食事を共にしながら、深い対話をする。そのような場として、地域をフィールドに「遊び」と「学び」をたっぷりと詰め込んだ旅TOUCA合宿を企画しています。

今回の舞台は、徳島県上勝町(かみかつちょう)。日本初「ゼロ・ウェイスト」を宣言した自治体であり、ごみのリサイクルや再利用に注力しているまちです。上勝町独自の取り組みとして、家庭ごみの43分別の徹底や食品廃棄物を堆肥化し農業に活かすなど、ゼロ・ウェイストの活動は住民一人一人の暮らしに根付いています。そういった取り組みや町民がごみ削減に努めた結果、2017年にはリサイクル率80%を達成しました。人口が1400人を下回る四国で一番小さなまちですが、「ゼロ・ウェイスト」の実践を通じて、世界からも注目を集めています。
本記事では、農園への訪問と2日間の振り返りを含めた参加者によるグループワークの2点をピックアップしながら、合宿の様子や学びをお届けしたいと思います。

100年後の未来へ繋ぐ、農家さんの新たな挑戦
今回お話を伺ったのは、シシトトラ-浅野農園-を営む浅野秀美さん。浅野さんは祖父母が残してくれた田畑を残したいという思いで、Uターンで地元上勝町へ戻り、農家になることを決意されたそうです。ただ始めるまでも大変な道のりがあり、実は先祖が大切にしてきた田畑と山には、大量のゴミで溢れていたとのことでした。
上勝町でのごみの分別は43品目。また、収集車での回収は無い為、自らセンターへゴミを持ち込みます。ゼロ・ウェイストという取り組みに賛同したい気持ちがあっても、毎日分別をし続けることは簡単ではありません。「人には見られたくないけど手放したいものがある」「捨てに行くのが面倒」という思いを持つ人もいる。まさにゼロ・ウェイストがもたらすリアルなのだと感じました。

そういった現実を受け止め、「祖父母が大切に100年以上続けてきた農業をこの先100 年先も続くように」と新たな挑戦をされています。その1つが、「幻の柑橘」とも呼ばれる上勝町の特産品、柚香(ゆこう)の6次化です。柚香は地元上勝町では価値が低いものとして知られており、利益が出づらいことから生産する農家さんが減少しています。「このままでは、上勝から柚香が失われてしまう」という危機感から、現在はご自身でHPをゼロから立ち上げ、ジャムやシロップと共にネットでの販売を展開されています。すだちや柚子と比較した違いや美味しく頂ける楽しみ方などを文章とセットで販売することで、柚香の高付加価値化に繋げています。
浅野さんのお話には、ゼロ・ウェイストという光の取り組みにも影があること、上勝のために自らがやるべきことは何か?と現実に向き合うこと、残したいと思うものにきちんと価値づけをし、経済的な循環のしくみをつくるという地域貢献のあり方があるということなど、多くの学びと気づきがありました。「故郷が大好きで、祖父母が残してくれた田畑を守りたい」と明るく話されていた裏側にある、懸命な努力とひたむきな思いにあの場にいた全員が心を打たれました。

上勝で何を残したい?
2日目の夜には、合宿での体験や学びを通して、「上勝でできそうなこと・やれそうなこと」というテーマで2チームに分かれてアイデアを出しました。参加したメンバーのバックグラウンドは幅広く、地域ブランディング、マーケティング、宿泊施設運営、デザイン、都市開発など、それぞれの視点から、多角的に上勝を掘り下げていきました。それぞれのチームが考えたアイデアの一部をご紹介していきます。

チームAは「ローカルtoグローカル」というテーマの元、複数のトピックでアイデアを整理しました。まずは、ゼロ・ウェイストのさらなる世界展開です。上勝町のごみを資源とみなす考え方をより広めるべく、「ごみって何?誰がごみと言った?ごみの学びミュージアム」「ごみをアートと捉える芸術祭」などの案も出ました。
一方でチームBは、人口問題という切り口で議論がありました。上勝町の人口は5年後には1,000人を切ると予想され、町民平均年齢も59.2歳という厳しい現状があります。この課題に向き合おうとすると、「どうすれば人口減少を止められるのか?」という議論になりがちです。しかし、このチームでは「減るという現実を受け止め、今既にあるものや残したいもののリサーチや町内で議論すること、同時にそれらの魅力化を進めることが必要なのでは」という考えを中心に、アイデアを出していきました。また、議論の中では「むしろ、人口制限を設けたほうがいいのでは?人が多ければいいという話でもないかもしれない。」という意見も。今のミニマムな町だからこそ、まちの人の顔が分かる程度の距離感が必要なのかもしれないという意見も出ました。
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両チームのアイデアに共通していた点が、「何を残したいか?」「残したいものを残し続けるために、どのような仕組みが必要か?」という視点で、ディスカッションが展開されていたことでした。この観点は、合宿全体を通しての学びの1つだと感じています。日本全国の多くの地域が人口減少や地域経済の衰退、文化の消滅といった大きな課題に直面していますが、つい私たちは「不足」に目を向ける傾向にあります。しかし、失われていくことだけに目を向けるのではなく、現実を受け止めつつも、今あるものや残していきたいと思うものに対してどのようなアプローチをできるかという点に注力すべきかもしれません。
上勝の今を知る時間を過ごす中で、「自分の地域ではどうだろう?」「自分には何ができるだろう?」と自分と向き合い、互いに対話を重ね、それぞれが自分のやるべきことを模索されている姿が印象的でした。普段はオンラインで活動することが多いTOUCAのコミュニティですが、合宿という形で濃い時間を共に過ごすことで、心の本音や想い、真剣な悩みなどをぶつけ合える仲間に出会えることもTOUCAの魅力の1つだと感じています。今後もTOUCAの仲間とともに、遊ぶように学ぶという「遊学」の考え方を大切にしながら、2025年も輪を広げていきたいと思います。
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